私たちがゼロエネルギー住宅(ZEH)を建てたときと比べ、ZEH(ゼッチ)という言葉もだいぶ世の中にも浸透してきました。政府はゼロエネルギー住宅の普及に向けさらに舵を切っています。これから家を建てる方は、ゼロエネルギー住宅を選ぶ。そんな時期が到来しそうな予感。
今年、政府がZEH普及に向けて考えている補助金以外の事柄を見ていきたいと思います。今年私たちがどこかで目にしそうな、一般人目線のものばかりです。
環境を考えて、ZEH住宅がさらに増える
COP21で採択されたパリ協定や、27年7月に国連に提出した「日本の約束草案」を計画的に推進するため「地球温暖化対策計画」というものが、平成28年5月13日に閣議決定されました。
地球温暖化の現状について http://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/ondanka/
目標は?
2030年度の日本には、2013年度比で温室効果ガスを26%削減するという、中期目標があり、また長期的目標としては、2050年までに、80%の温室効果ガスの排出削減を目指すことを、目指しています。
どうしたらいいのか?
2030年度26%削減の達成に向け、特に家庭・業務部門は4割削減が必要と言われています。
家庭からの排出量は、3割強が照明・家電製品、3割弱が自動車、2割が冷暖房と言われています。この結果を見ても照明器具や家電、冷暖房など、省エネ家電を買い替えることも重要だと分かっています。
環境省の推進する「COOL CHOICE」を見ると3つのグループに分け、温室効果ガスを削減するべく、身近なところからコツコツと、市民レベルで普及活動を行っていく予定の様です。
たとえば、家庭部門で約4割削減とは?(対策行動のイメージ)
・全ての照明をLED電球に置き換え : 6.6%減
・全居室の窓を複層ガラスに換え : 3.1%減
・10年前のエアコンを最新型に買い替え :4.6%減
・10年前の冷蔵庫を最新型に買い替え :6.0%減
計 20.3%減
これら4つのうち3つが必要!と考えられています。
また世帯とCO2 排出量の比較をすると
出典:家庭からの二酸化炭素排出量の推計に係る実態調査全国試験調査の結果(確報値)の概要(平成27年度)
<都内4人家族の戸建て住宅での一例>
同じ世帯類型で建て方別にCO2 排出量を比較すると、戸建住宅の世帯の排出量は集合
住宅の世帯より多いそうです。
例えば単身世帯では、戸建住宅の世帯の排出量は集合住宅の世帯に比べて1.6~1.8 倍。
また、世帯類型別のCO2 排出量を比較すると、高齢世帯の排出量が若中年世帯
よりやや多い傾向があるそうです。
世帯主が50~59 歳の世帯の排出量が最も多い
また、戸建住宅、集合住宅のいずれも、世帯主が50~59 歳の世帯の排出量が最も多いそうです。
出典:家庭からの二酸化炭素排出量の推計に係る実態調査全国試験調査の結果(確報値)の概要(平成27年度)
まとめると・・・
と、このように若い人の方がCO2 排出量が多く、戸建ての方がCO2 排出量が多いということがわかっているようで、これから建てる住宅は、省エネ住宅にして欲しい!というのが政府の考えなのです。
環境省の推進する「COOL CHOICE」
5つのグループに分かれるようです。
- 「省エネ家電」への買換えを進める
- 「省エネ住宅」の選択を進める
- 「エコカー」への買換えを進める
- 宅配便の再配達を防止する「低炭素物流」を進める
- シェアリングエコノミーに着目した「ライフスタイル」
と、このように2017年(平成29年)は、「省エネ住宅」の選択を進める国の取り組みが始まります。
具体的には?
ZEH、省エネリフォーム、BELS等のPRを予定しているようです。
以下は、あくまでも今の段階のもので、ロゴはこれから決まります。
また、キャラクター、動画、ブロガーを利用して普及活動を行うようです。
自治体・地域センターレベルでは?
• 市町村だよりを通じた普及啓発
• コミュニティFM等を通じた発信
• 地域センター等を通じた普及啓発
国のレベルでは?
• 特設サイト開設等
• 29年省エネ賃貸住宅支援予算
• うちエコ診断
消費者レベルでは?
• 新築ならZEHを選択する(2030年度、新築住宅における省エネ基準適合率100%)
• 既存住宅は省エネリフォーム(2030年度約3割省エネ基準適合)
事業者レベルでは?
•統一ロゴマークの掲出等を通じた周知
•ZEH宿泊体験(冬)
•ビジネストークガイドの活用
現時点でのイメージでは、以下のような感じです。
ZEH宿泊体験(冬)ってどんなものになるのか?
家の購入を検討している方をターゲットに、一般公募+インフルエンサー(ブロガー等)に冬の期間、ZEH(準ずるもの含む)に体験宿泊して貰います。その感想や実況を、ブログやSNS・動画等を活用して発信してもらうそうです。
新築、新居購入するならZEH、という消費者の選択に繋げるのが目的。
一般ユーザーの感想のほか、インフルエンサーによる効果的な情報発信も狙う
① 体験宿泊を提供のモデルハウス等を全国の工務店・ハウスメーカーなどから公募。
② 東京都23区内は、個別に事業者と相談して体験宿泊施設を選定予定。
③ 体験宿泊希望の一般の方(住宅購入予定があること等を要件とする)を公募するとともに、インフルエンサーについても選定(全国・東京)。
④ 一般の方の感想を動画で、インフルエンサーの発信はメディア取材やインフルエンサー自身が発信することで効果的に情報発信。
⑤ 本活動の成果をまとめ、工務店等の全国の関係事業者に共有。
と、かなり本気度が伝わる内容です。
断熱リフォーム促進のためのビジネストークガイド
マイホームにお住まいのリフォーム検討中の方をターゲットに、「冬寒く、夏暑い住宅」に住むと、健康に悪影響を及ぼすよという冊子を作成。
中小工務店等によるビジネストークガイドの活用を通じ、断熱リフォームを推進する。
断熱性・気密性の低い住宅のリスク、断熱リフォームのメリット(健康面等)を訴求
① 断熱性・気密性が低い「冬寒く、夏暑い住宅」に住むことによる健康への悪影響(ヒートショックの死亡者数が交通事故の死亡者数の3倍以上等)
② 「冬寒く、夏暑い家」の原因説明
③ 具体的な解決策の提示(どうすれば解決出来るのかを建材の紹介等を交えながら説明)
④ 断熱リフォームによるメリット(諸症状の有訴割合の低下等)
⑤ 子どもや孫が寒い家に不満を感じていること
⑥ 断熱リフォーム支援制度
⑦ うちエコ診断
住宅専門WEB記事や雑誌等を通じ、情報発信
新築やリフォーム等を検討中の方をターゲットに、住宅情報専門のWEB記事や雑誌等を戦
略的に活用。
消費者に響く切り口から省エネ住宅を取り上げ、新築ならZEH、既存住宅なら省エネリフォームという選択・行動変容を促す。
住宅の省エネ性能を統一基準により表示する建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)等の普及もあわせてPR。
さいごに
これから家を建てるのであれば、ゼロエネルギー住宅(ZEH)を選ぶ。そんな時期が来ているようです。
住宅以外でも、省エネ家電に買い替えを促すためのものか、「29省エネ家電予算」というものもありそう。家電の買い替えを検討中、また家を新たに建てるのであれば、最新家電で省エネして欲しい!という考えもありそうです。
とくに「29省エネ家電予算」というのは、気になりますね。誰にでも関係してくるものですから・・・
補助金は、事業者に向けたものだけど
この事業は、家電量販店やインターネット通販、個人事業者などの中小小売店に対したもののようです。省エネ家電の販売実績が前年度を超えた場合、台数に応じて補助金(上限5000万円)を支給する仕組みだそうです。
対象家電となるのは、エアコンと冷蔵庫、テレビの3種類で「統一省エネラベル」五つ星の製品。従来品と比べて高額な五つ星の製品の販売を補助金を活用して事業者に促すのが狙い。
ただし各小売店が独自で割引したり、ポイント制度を導入したりすれば、私たち消費者への還元も期待できますよね。だから、今年は家電も買い時かも?
楽しみです。
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