先日、つくば市になる建築研究所の構内にある、LCCM住宅デモンストレーション棟を見学してきました。LCCM住宅とは、建設時~住居中~廃棄時まで省CO2 に取り組み、太陽光発電等を利用し、生涯でCO2 収支をマイナスにする住宅のこと。今年はこのLCCM住宅を建てると、上限125万円補助金が出るんです!一体どんな家なんだ~では、見ていきます。
LCCM住宅とは?
Life Cycle Carbon Minus:ライフサイクルカーボンマイナス住宅のこと。
住宅の寿命の中で、建設時、住んでいる間、廃棄時において省CO2 に取り組み、さらに太陽光発電などを利用して、生涯でのCO2 収支をマイナスにする住宅 として提案されたものです。
ライフサイクルで、カーボンがマイナスになる住宅・・・なるほど!と思いました。考え方としては理にかなってるというか、そうあるべきだなって思うのです。でも、どうやって?とやはり思いました。
上の図の右側を見ると、従来の住宅は、建てたあともCO2をどんどん排出しています。しかし、LCCM住宅では、住む年数が長いほどCO2排出量がマイナスになっています。これが、カーボンマイナスです。
なぜ、LCCM住宅が 生まれたのか?
LCCM住宅やゼロエネルギー住宅への関心は世界的に見ても高まっていますが、研究的にはまだ不十分でその技術的可能性等を明らかにする必要があります。
建築研究所では、個別研究開発課題「建築・コミュニティーのライフサイクルにわたる低炭素化のための技術開発(平成21~22年度)」の中で「LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅に関する技術の開発」という項目を掲げて研究を進めています。
この研究実施にあたり国土交通省国土技術政策総合研究所および日本サステナブル建築協会を参画者とする共同研究として「ゼロエネルギー住宅に関する研究」を2009年より開始しました。
建築研究所ホームページより
低炭素社会を目指し、国の長期目標として、2020年に温室効果ガスを1990年比で25%削減する掲げていますが、住宅の高断熱・高気密化や機器の効率化にもかかわらず、住宅分野における二酸化炭素排出量の増加が続いている現状があります。
「パリ協定」って聞いたことありますか?トランプ大統領が突如離脱したアレです。「基本上昇2℃未満目標、温暖化ガス排出実質ゼロ」というのが目標です。
そこで、国は2014年・2015年に長期目標を決めました。
- 2020年にZEH標準化
- 2030年平均ZEH化の政策目標
- 2030年、温室効果ガス2013年度比26%削減
- 2050年、温室効果ガス2013年度比80%削減
まず、国は何か始めないとと言うことで、ZEHを推進していたと思うのです。でも、その中でZEHだけでは「2050年、温室効果ガス2013年度比80%削減」なんてできない!と気づいたみたいなのです。
家庭から出る二酸化炭素を将来的にゼロにするために、ZEHのさらに上をいくスーパーなZEHが必要だと考え、LCCMは生まれたようです。
この環境のことを考えた新しい家。8年ほど前から始まり、今年はLCCM住宅を建てると補助金も貰えるのです。これについては当サイトでしっかり書いていなかったので後日買おうと思います。
このLCCM住宅の先駆者的存在は、九州にあるZEHビルダー「エコワークス株式会社」さんでしょう。こちらはもっと私たちが住むのに現実的なLCCM住宅を作っています。エコワークスさんは社長さんの環境意識も高く、素敵な木造住宅を作る会社です。
詳しくはこちらもどうぞ。
時々見学会も行っているそうです。私もいつか行ってみたいです。
さて、今回見学したLCCM住宅は、あくまで国土交通省管轄ともいうべき、国立の建築研究所の実験棟。先駆けだけど、”私たちが住む家と同じではない” と思って見て欲しいです。こういう家も未来には普及するんだ~という気持ちで見て欲しいです。
また、建築研究所の見学については不定期でやってます。詳しくはこちら
実際の「LCCM住宅の実験棟」を見学
窓が多いですね。こんなに多くて大丈夫か~ってくらい窓があります。
横から見たところ。そもそも形状が面白い。普通に家を設計しようと考えたらこうはならないだろうな、という感じ。
後ろは、やはり窓が最小です。北側だからかな。てっぺんの2つの塔から空気を排出するそうです。どちらかと言うと排出というより空気の流れを作るための換気の模様。
となりの建物から屋根が見えました。上から見ると、このようになっていました。本当に面白い作りです。太陽光パネルは7.98kWでした。
また、実験棟ということで、無造作に置いてありました。
中に入ると、照明もつけないで窓から採光していますと話がありました
季節・時間に合わせて衣替えができる家
窓や、ルーバー等の開閉により、夏・冬、昼・夜間といった季節や時間に対応したモードを考えています。
冷房モード、暖房モードはもちろん、不在時のモードも考え風や熱の逃げ方を考えています。ひさしの長さや日光の入り方は家づくりをするときに考えてくれますが、普通の家はたぶんここまでは考えられてはいないかな?と思います。あくまでも実験ですので・・・。
建てる前にシュミレーション
熱のシミュレーション
①冷暖房負荷、②温度変動、③室間の温度差のシミュレーションを行い、開口部の性能、断熱性能等を決定。
風のシュミレーション
春から秋にかけてよく吹く風の向きを中心に、開口位置、屋根形状の違シミュレーションをし、数値流体力学を用いて検証。開口の大きさや屋根の形状を導き出しているそうです。
光のシミュレーション
昼光、人工照明のそれぞれについて、南面のまぶしさ防止、LEDの多灯分散配置をテーマにシミュレーションをして、開口部分、いわゆる窓も考えたそうです。
フローリングとタイルが敷いてありました。どうやら考え方は、半分外という考え方をしていて、タイル部分は昔で言うところの縁側みたいな役目も果たしているようです。タイルとフローリングの境目は、引き戸で開け閉め可能。季節によって調節する考えの様です。
実は、我が家も同じような床にしていたので、びっくりしました。うちは犬がゴロゴロしても涼しいように、1階の南の窓側は、玄関に使った30cm角ほどのタイル2枚半ほど敷きました。
また、カーテンやブラインド代わりに、木枠のルーバーがあり、この部分はスライドすることで、日差しを遮断してくれるようです。
タイルというか土間を見ると、スライドできるようになっています。木製のルーバーはココの上を可動します。
1階部分はこんな感じ。
照明器具は壁の間接照明と、テーブルの上にある小さめのペンダントライトくらい。でも思った以上に明るかったです。
見学の日も実験中とのことで、照明やエアコンなどには触らないで!と話がありました。
いろいろな機器が稼働してました。詳細までは説明もなかったので分かりませんが・・・・。
1階部分と2階部分の接続部分はこんな感じで、1階の土間?タイル?部分は、そのまま2階においても同じ関係性を持ち、部屋の中というよりは、半分外という意味合いの様です。
2階から下を眺めるとこんな感じ。
2階はこんな感じでした。素材とか雰囲気はシンプル。
2階部分の天井には、照明器具はなく。間接照明が壁にあるくらい。
外の光が入るので明るいのですが、曇りの日は暗そうです。
2階部分はベッドルームが3部屋。やはり照明器具は間接照明レベル。窓は小さな窓があり、どことなく、別荘にでも来た気分でした。
部屋とリビング?共用部分の仕切りは、ロールカーテンでした。
また、外から見た時、煙突の様な塔が2つありましたが・・・・中はこうなっています。1階と2階が繋がっていて換気し、空気を逃がしているようです。
このLCCM住宅について詳しくはこちらも
https://www.kenken.go.jp/japanese/contents/lccm/index.html#whatlccm
さいごに
見学の時間が凄く短くて、写真を撮る時間も少なく本当に困りました。今回は、科学技術週間の中の1日だけ、一般公開する形で見学しました。
子供もOKでしたので、今回は1人で行ったのですが、次回は子供と一緒にきても面白いかなとも思います。
空気が逃げる仕組みや、光の入る角度、もちろん外が暑くても、中に入ると涼しいこと。そして、CO2が何をするのか?今まで人間たちは何をしてきたのか、とか。
子供と一緒の方が気づくことって実は多かったりします。
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