「ZEH調査発表会2018」を参考に、 平成31年度にZEHの家を建てよう!

平成30年(2018年)11月28日、今年も「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス⽀援事業 調査発表会2018」に行ってきました。この発表会も3年目くらいでしょうか・・・1年に一度のZEH(ゼロエネルギー住宅)関連の発表会になります。

一見、消費者には無縁そうな資料ですが、これから家を建てる予定の方は特に、自分の家に当てはめることが出来ると思います。失敗しない家づくりは、資料からも学ぶべきです。参考になれば嬉しいです。

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス⽀援事業 調査発表会 2018

調査発表会では、ゼロエネルギー住宅(ZEH)の普及に向けて、今年の補助事業やZEHビルダーの実績、すでにZEHの家に住む人の実体験や様々な数値を紹介しています。この補助事業も今年で7年目を迎えたそうです。

ZEHは普及期に入り、イベントや宿泊体験も増え、この「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス⽀援事業 調査発表会」の資料も回数を重ね、整合性の取れる資料になってきたのでは?と勝手に思っています。

今年も東京会場は、ベルサール汐留にて開催されました。ほぼ満席で550人の方がいらしたそうです。

「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス⽀援事業 調査発表会 2018」の資料の中で、平成31年(2019年)以降、ゼロエネルギー住宅を検討中の方に、役に立ちそうな資料を抜粋してみました。我が家の資料とも見比べてご自分の家と比較し、ゼロエネルギー住宅を検討してみてください。

発表は4部に分かれ、①基調講演と連携施策 ②ZEHビルダー連絡会と一般工務店によるZEH普及事例 ③戸建住宅のZEH補助事業 ④集合住宅のZEH補助事業 という感じでした。

私たち消費者が何を知りたいかって?まず、「ZEH」という言葉を最近知った方は、本当にZEHが良いのか、2019年のZEHの補助金がどうなってくるのか?とか、申請状況や分析結果が知りたいですよね・・・

③戸建住宅のZEH補助事業を見ていこうと思います。

資料はPDFでこちらからも見られます。

▶ https://sii.or.jp/zeh30/conference.html

現在、ZEHは住宅全体の何%くらい占めるのか?

29年度(2017年)の注文住宅の 15% がZEH

これは29年度の資料になりますが、住宅の年間着工棟数に対して、ZEHビルダー・プランナー実績報告の集計値が占める割合は以下の通り

注文住宅は年間で282,111戸建ち、そのうちの15%ほどがZEH(NearlyZEH・ZEH Oriented含)という結果が出ています。また、建売住宅、既存住宅を含めると、17.6%がZEHという結果になっているそうです。

出典:SII公開データ

平成30年度 ZEH支援事業 事業の概要と申請状況

発表されたのは以下の事業。特に、↓太字の事業を見ていきたいと思います。

経済産業省による
「平成30年度 ZEH+実証事業」
「平成30年度 戸建分譲ZEH実証事業」
「平成30年度 高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」

環境省による
「平成30年度 ZEH支援事業」
「平成30年度 先進的再エネ熱等導入支援事業」
「平成30年度 低・中層ZEH-M(ゼッチ・マンション)支援事業」

この資料は、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス⽀援事業」で補助金を貰った人たちの調査報告になりますが、どうやって補助金を受給したかは書いてありませんので、あしからず。

気になる交付件数の合計は?

「平成30年度 ZEH支援事業」 :申請数 7,740件 交付数 7,100件
「平成30年度 ZEH+実証事業」:申請数 1,959件 交付数 1,956件
「平成30年度 戸建分譲ZEH実証事業」:申請数 116件 交付数 116件


合計: 申請件数 9,815件、交付決定 9,172件

という風に、申請したらほとんど交付されている感じに見えますが

[voice icon=”https://xn--ickm4b1dyhj3iu63z37wa.jp/wp-content/uploads/2018/09/miho-1-1.jpg” name=”ことらママ” type=”r fb”]「平成30年度 ZEH支援事業」は先着順
「平成30年度 ZEH+実証事業」は先に住宅メーカーごとで補助金を出す件数を決める枠組み制
「平成30年度 戸建分譲ZEH実証事業」は街単位でZEHを実現する形をとっているのでこれも分譲の事業者11件で実際には116戸分[/voice]

という風に、ZEHの採択の方法にもいろいろあります。どうでもいいことだけど、ゼロエネルギー住宅を検討中なら、この採択方法を知っておくと、住宅メーカーを決めるときに振り回されずに済むと思います。これ、けっこう大事かもしれません。

しかしながら、私たちは26年度のZEH補助金を貰ったのですが、全部で900件くらいだと聞いているので、この数年で「ゼロエネルギー住宅」「ZEH」「ゼッチ」という言葉は、世の中で認知される存在になったなあと思います。

申請状況について 年度別

申請が年々伸びてるのが見てわかります。平成24年度は400件足らずだったものが、平成30年には9000件にもなっているんですね。

出典:SII公開データ

資料には、この交付された9,172件のうち、ZEH・NearlyZEH・ZEH Orientedそれぞれの割合も載っています。2020年までに新築の半数をZEH住宅にするには、まだまだ頑張らないといけませんね。

出典:SII公開データ

申請状況 ZEHビルダー別では?

出典:SII公開データ

こちらは件数だけ見るとハウスメーカーが多いということになるのですが、年間に建てた家のZEHの割合を見ていくと、工務店のほうが実はZEHに熱心で頑張っています。この1年間私もいろいろ勉強になりました。この資料で昨年と違うのは、戸建分譲ZEH実証事業は工務店が増えたことです。

ZEH補助金を貰った人たちのUA値や太陽光発電システムのサイズは?

これ、気になりますよね。あの家はこのサイズでZEHの補助金貰ったとか、教えてくれないけど知りたいですよね。

太陽光発電システム等の再生可能エネルギー・システムの容量は?

[voice icon=”https://xn--ickm4b1dyhj3iu63z37wa.jp/wp-content/uploads/2018/09/miho-1-1.jpg” name=”ことらママ” type=”r fb”]太陽光発電システムの容量の平均値は、ZEH支援事業:6.5kW、ZEH+実証事業:6.9kW、戸建分譲ZEH実証事業:5.3kWで、3.0kWなどの小さい容量は少数派みたいです。ただ10.0kW以上なくとも大丈夫ということがわかる資料です。[/voice]

出典:SII公開データ

再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費削減率は?

このように、ZEH支援事業・ZEH+実証事業・戸建分譲ZEH実証事業ともに、30%ちょっとの削減率の方が多く、めちゃくちゃ頑張らなくてもZEHの補助金が交付されたということも分かります。また50%以上削減した方はほとんどいません。

出典:SII公開データ

気になるUA値は?外皮性能について

1~3地域の平均値

ZEH支援事業は UA値:0.37
ZEH+実証事業は UA値:0.32

また「ZEH支援事業」において、1.2地域(北海道)の90%近くがUA値0.3以下で申請して交付され、「ZEH+実証事業」においては外皮性能のさらなる強化を選択した影響でさらに外皮性能がUP。

4~7地域の平均値

ZEH支援事業は UA値:0.52
ZEH+実証事業は UA値:0.46
戸建分譲ZEH実証事業は UA値:0.53

「ZEH支援事業」において、5~7地域ではUA値0.55~0.60、「ZEH+実証事業」はUA値0.45~0.50が、全体の4割~5割占める結果になったそうです。

寒冷地はやはり外皮性能が良くしないといけないというのは、今更ですがよくわかります。また最小値でいうとUA値0.23前後の家が、地域関係なく一定数存在しており、やはり外皮性能ありきだなと感じました。

暖房・冷房設備について

これまでも分かっていることだし、我が家も同じ結果なのですが、夏より冬の方が電気代(エネルギー)を使うことが分かっています。

暖房について

「ZEH支援事業」「ZEH+実証事業」の設備導入比率はほぼ同じ傾向で、個別エアコン、床暖房が大きく占めています。

出典:SII公開データ

面白いのは、以前は床暖房を入れるとZEH達成しずらいといわれてきましたが、今はそんなことはありません。外皮性能がUPしたおかげでしょうか?

床暖房床暖房の熱源の導入状況(単位:件)

「ZEH支援事業」「ZEH+実証事業」では、「電気ヒートポンプ式熱源」が約半数を占め、どちらかといえばオール電化の方が有利かな?といえる資料になっています。でも40%近くはエネファームもいるのでこの差でどちらが有利かというのは難しいかなとも思います。

出典:SII公開データ

給湯設備の導入状況

では、気になる給湯設備は?というと、エコキュートが強いです。エネファームよりは安いしそういうのもあると思うのですが・・・エコキュートで床暖房も使っているということでしょうか・・・。

[voice icon=”https://xn--ickm4b1dyhj3iu63z37wa.jp/wp-content/uploads/2018/09/miho-1-1.jpg” name=”ことらママ” type=”r fb”]私たちがZEHの補助金を申請しようとしたときは”床暖はZEHに不向きだから”というのが定説だった気がするし、床暖ならエコキュートよりエネファームを使った方が良い・・などなど。結果的にガスを利用することになるので、床暖暖房を諦めた経緯があります。ほんの数年でも状況は変わるんだなあと感心しました。[/voice]

出典:SII公開データ

冷房について

高効率な個別エアコンを導入される方がほとんどですね。

出典:SII公開データ

事業者アンケート集計の分析と実績報告

[voice icon=”https://xn--ickm4b1dyhj3iu63z37wa.jp/wp-content/uploads/2018/09/miho-1-1.jpg” name=”ことらママ” type=”r fb”]地域ごとで比較すると、ZEH達成比率に地域差はほとんどないそうです。ただし、やはり寒冷地ほど。一次エネルギー消費量が高く、ZEH達成率が低くなる傾向があるそうです。[/voice]

そもそも、ZEH達成?未達成?というところから始まるのですが、このZEH達成か否かの定義としては、 以下のように定義しています。

太陽光発電システムによる創エネルギー量 > 一次エネルギー消費量 

調査対象者は?

アンケートの集計は、平成26年度・平成26年度補正・平成28年度でZEH補助金が交付されている方。有効回答は8,890件あり、このうちの分析対象は4,770件。

実際に住んでみてからのZEHの達成状況は、全体の73%(昨年は67%)。

これからZEH住宅にしよう!と考えている方に有益な報告は?

 

[voice icon=”https://xn--ickm4b1dyhj3iu63z37wa.jp/wp-content/uploads/2018/09/miho-1-1.jpg” name=”ことらママ” type=”r fb”]すでにZEHの家にした方たちの報告から、年間通していつが電気代がかかる時期か、また太陽光発電システムの発電が多い月や少ない月もある程度予測可能です。[/voice]

出典:SII公開データ

・一次エネルギー消費量は12月-3月に急増する。
理由:増加時期から推測して、暖房設備と給湯設備の使用が要因と思われる。

・太陽光発電による創エネルギー量は5月がピーク。10月を底に、春に向けて増加傾向に転じる。
理由:日照時間やソーラーバネル自体の温度が影響していると思われる。

[voice icon=”https://xn--ickm4b1dyhj3iu63z37wa.jp/wp-content/uploads/2018/09/miho-1-1.jpg” name=”ことらママ” type=”r fb”]この分析結果は、昨年と大体変わりません。2019年以降家を建てZEHにする予定なら、自分の家の電気の使い方をよく考えて導入する機器を決めたらいいですよね。[/voice]

電力使用量の経年比較

見たとおりですが、我が家もそうですが、もう我慢の省エネしないので、1年目より2年目、2年目より3年目の方が電力の消費が多かったです。他の方も同じようです。

出典:SII公開データ

ガス使用量の経年比較

ガスに関しては経年で大きな変化はない模様。

出典:SII公開データ

発電量の経年比較

夏季の発電量が過年度より伸びているそうです。天候に左右されるので長い目でみないといけません。

出典:SII公開データ

例外的?冬に晴れが多い地域は1月2月の創エネルギー量も悪くない!

日本には冬も晴れの多い地域があります。例えば、こ愛知、静岡、高知などがそれにあたると思います。

私の住んでいる地域も「年間で晴れの多い地域」にあたるのですが、実は1月2月の創エネルギー量も悪くないです。

我が家のデーターはこちら↓

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ZEH達成の家の傾向は?

ZEHを達成した家には以下のような特徴があるそうです。ここでいう「ZEH達成」はZEHの補助金を交付されアンケートを取っている中で、実生活を送りながら本当にZEHを達成した家についての報告書です。実績値になります。

項目ネット・ゼロ・エネルギー達成グループの特徴
電力使用量・年間を通して、使用量が少ない。
ガス使用量・年間通して、使用量が少ない。
発電量・年間を通して、発電量が多い。
特に3月~9月で差が顕著。
コージェネレーション システムの運用状況
・省エネモードを設定している場合は、達成率が70%を上回る。
項目省エネ計画達成グループの特徴
工法・木造の事業者の割合が高い。
・ただし、工法別で一次エネルギー消費量には差はない。
延床面積・延床面積が狭い事業者が多い。
外皮性能・外皮性能が高い事業者の割合が高い。
家族構成・ペットを飼っていない割合が高い。
・世帯主の年齢が低めで、30代以下が60%程度を占める。
冷房設備
・冷房の使用期間がやや短い。
・我慢できるときは冷房を使用せずに扇風機を使用している事業者の 割合が高め。
暖房設備・高効率エアコン(個別)導入者が60%以上を占める。
・寝室で暖房設備を利用しなかった割合が高い。
・暖房設備を使用しないように心がけた割合が高い。
その他・オール電化の事業者の方が、コスト面で収支がプラスとなる割合が高い。

出典:SII公開データ

家の構造・工法は?

ZEH達成の工法は、木造の事業者の割合が高い。・ただし、工法別で一次エネルギー消費量には差はない。

外皮性能が高いほどZEH達成率が高い様で地域別にみるとこうです。

  • 1~3地域:UA値0.28超0.4以下(Q値1.0-1.4以下)の80%がZEHを達成
  • 4~8地域:UA値0.28超0.4以下(Q値1.0-1.4以下)の90%以上がZEH達成

エアコンは?

冷房の場合:全体の90%が高効率エアコンを使っているが、ZEH達成率の高いグループは扇風機を利用している割合が多い。
暖房の場合:全体の60%が高効率エアコンを使っているが、床暖房を使うとZEH達成率は減る
床暖房は?:床暖房がない方が、ZEH達成率が高い。できれば床暖房がない方がZEH達成するようです。

出典:SII公開データ

電気は?

発電量の状況:一年を通じてZEH達成グループの方が、発電量が多い
買電量の状況:差が大きいのは、8月・9月と1月~3月

ガスは?

冬場の電気・ガスを使う家はZEH達成率が低いです。特に冬場のガスの使用が多いとZEH達成率が悪いようです。これは昨年も同じでしたね。

出典:SII公開データ

ここで見て欲しいのは、電力使用量、ガス使用量と書いていますが、オール電化の家があっても、ガスだけの家ってあるのでしょうか?

この「電力使用量」には、ガスも併用して利用している家の「電力使用量」も含まれるのではないかと思うのです。となると、やはりガスは使用しない方が現時点ではZEH達成率が高いと言える気がします。

この資料にオール電化が良いとかそういうことは書かれてもいないので、あくまでも電力会社にもガス会社にとっても中立な立場にいないといけないのでしょう。

でも、資料を見ていくとオール電化の方が若干有利なのでしょうね。

エネルギーコストの分析

同じグラフを単位を円にしたらこうなります。

出典:SII公開データ

電力購入額とガス利用額の状況

電力購入額とガス購入額のどちらも、暖房の使用がはじまる12月以降は購入額が増えます。どちらもビックリなのは、ガス料金、電気料金ともにひと月1万円以下でなんですね。我が家ももちろん1万円以下なのですが、みんながみんな1万円以下というのにびっくりです。

これこそ、我が家もZEH住宅にしたかった理由です。

エネルギー収支はプラス?マイナス?

グラフが資料にありますが、エネルギー購入額と売電額について、コスト面での収支がプラスになっているグループと、マイナスになっているグループを分けると、全体の64%(昨年は57%)がプラスになっています。特にUA値0.28値超0.4.以下が際立って高い傾向があるそうです。

また、外皮性能が高いほど、年間エネルギーコストは黒字傾向。そして、エネルギーコストがプラスになるのは5人家族まで、高齢の家庭ほどZEH達成率が高いそうです。

さいごに

この資料をみると、100%の方がZEH達成してる訳ではないと分かります。それでもこの資料を見たら、どんな家にしたら良いのか目安になります。

資料には住み始めてからの感想も載っています。我が家も快適です。暖房・冷房ともに効きは良いし、冬も昼間はエアコン要らず。どうしてZEHをお勧めするか?の理由も載ってるのでまた後日追記しようと思います。

以下の資料を見てもらうと自分にあった住宅メーカーが見つかるかもしれません。

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遂に、消費税も10%になりました。
実は、私たちも5年前の8%になったばかりの4月に家を建てようと動き始め、結果的にZEHの家に辿り着きました。

多くの人にとって家づくりは一生に1度あるかないかではないですよね?
私たちも初めての家づくりなのに相談するところもない。転勤族で知り合いも少ない。
そんな感じで家づくりがスタートしました。

もし、今、経験者として言わせてもらうなら、1度くらいは中立な立場の人に相談するのをお勧めします。
ぜひ、「私たちの失敗談」を読んでみてください。

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