海外でも ZEB・ZEH(ゼロエネルギー住宅)と同じような「ゼロ・エネルギー」への取り組みは急速に進んでいます。現状では、欧米がかなり先行しています。では、ZEHがどのように生まれたのか?どこに向かっていくのか、我が国はいったい何をしたいのか?など考えたことありますか?実は、私はあまり考えたことありませんでした。
我が国が向かっている方向は?
「ICEF 2015」レポート:NEDOのレポートを見るとわかりやすいです。
出典:http://www.nedo.go.jp/content/100764818.pdf
1973年の石油ショックを機に、日本では省エネルギーの必要性が叫ばれるようになりました。
この時代の要請に、最も対応してきたのが日本の産業部門です。石油ショック以降の日本のGDPの伸びと、最終エネルギー消費を比較してみると、GDPが2.4倍になったにもかかわらず、産業部門の最終エネルギー消費は0.9倍と10%減になっています。
これは数多くの省エネルギー技術や製品を開発し、エネルギー消費の削減
に率先して取り組んできた結果です。一方、民生部門(業務部門+家庭部門)では、同じ期間にエネルギー消費が2.4倍にも増えています。これは、冷暖房空調の普及など、オフィスの利用環境や家庭の住環境が大幅に向上したことが背景にあります。
とはいえ、民生部門は日本のエネルギー消費量の30%以上を占めており、この部門でのより層の省エネルギー技術の開発が喫緊の課題となってきました。
こうした中、民生部門で今、最も期待されているのがZEB(ゼブ)・ZEH(ゼッチ)という取り組みです。
ZEBは非住宅系の建物、ZEHは住宅系の建物が対象で、建物全体で省エネルギーを目指すと同時に、新エネルギーを活用し、建物全体でエネルギー収支をゼロにしようというのが、ZEB・ZEHの目指す「ゼロ・エネルギー」です。
ZEBはゼブ、ZEHはゼッチと読むんですね。
日本の目標
このうち、ZEHの場合は 2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅 全体の平均でZEHの実現を目指している。
日本の現状
現状では、欧米がかなり先行しており、日本のZEB・ZEHの技術は、2020年の目標を達成してようやく欧米に並ぶといったレベルだそうです。
具体的なZEB・ZEH化のために
家(建物自体)のエネルギー効率を上げる
断熱効果の高いガラスや断熱材を使用するなど、効率的な外側をつくる。
断熱や床への蓄熱等、冷暖房にも利用することでエアコンの使用を抑えれば、大きな省エネルギー効果となります。
家(建物自体)の付帯設備の省エネルギー化
エネルギーを消費する照明、空調、給湯といった建物の付帯設備の省エネルギー化。
- 照明なら、蛍光灯をLED
- 空調機器はヒートポンプにする
さまざまな機器を省エネルギー型に転換することで、エネルギー削減が可能と考えています。
宇宙から見るとこんなに照明をつかってます。日本もかなり明るいです。
家(建物自体)の中で人が使用する機器の省エネルギー化
家(建物)の中で人が使用する家電(機器)の省エネルギー化。
自然エネルギーの活用
太陽光や地熱、バイオマスといった自然エネルギーの活用。
屋上や屋根、壁等に太陽光発電パネルを設置し、電力を供給するだけではなく、太陽熱を効率良く集め、活用する。
このように壁に太陽光パネルが貼ってあるのも最近は珍しくありません。
大型ショッピングモールなどは壁にもパネル貼っているところもありますよね。また、太陽の光を効果的に取り入れ、室内の照明の照度を落とす取り組みも。
これらは、NEDOと住宅建築会社が共同で活用システムの実験をしています。
このシステムの開発では、
- 冬は、太陽光パネルの熱を蓄熱材に蓄熱し、夜間は放熱するシステム
- 夏は除湿と気化冷却による太陽熱冷房(デシカント冷房)
を開発したそうです。
また、2014年からは「新築住宅実証評価」を北海道の旭川市から沖縄県の中頭郡まで全国11カ所で行い、省エネ型住宅の実証研究を進めているそう。
この実証研究で得られたデータは、将来の省エネルギー住宅の基準作り等に反映され、活用される予定です。
太陽光パネルの熱を蓄熱する「蓄熱暖房器」はまだ見たことがありませんが、深夜電力をレンガに溜めて昼間使う「蓄熱暖房器」なら見たことがあります。
じわじわと温まるのがウリで、空気も汚さず暖炉のように暖かい。けっこう本気で欲しかったんですが、見送りました。
深夜電力は電気代が安い!この時間帯に電気を溜め、朝みんなが起きてくる時間に合わせて溜めた熱を放熱するそう。私みたいに喘息持ちの人や子供には良いですよね。空気が汚れないのは嬉しい。
あまりメジャーじゃないのか、この暖房機についてはYahoo!の 「電気蓄熱暖房器」を見てみてください。この電気蓄熱器ってあまり見ませんよねー
また、「除湿と気化冷却による太陽熱冷房の技術」について書かれた記事がありました。こちらの記事 「デシカント冷房」 を参考にどうぞ。
さいごに
このように、ZEHは、エネルギー消費は徹底的に抑えて省エネルギー化、そして使うエネルギーは自然エネルギーから得る を徹底的に実践しZEH・ZEBを目指すということですね。
ZEHの場合は 2020年までに標準的な新築住宅での普及をめざしています。
結果的に、急速に普及を目指し、国からは補助金が下りているというのが現状ですが、将来的には、これらの技術を日本と同じ高温多湿な国々へ、技術として売ることも可能だと言っています。
とにかく、日本だけでなく、全世界で求められてるZEH・ZEB。
これから家を建てようと考えてる方はどう捉えますか?折角ならZEHにしますか?それとも・・・・?
出典:http://www.nedo.go.jp/content/100764818.pdf